自己紹介
私が「TNR」とか「さくらねこ」「さくら耳」といった言葉を初めて聞いたのは、10年くらい前のことだったでしょうか。
その後何年もの間、地域で野良猫ちゃんを見かけては
「あぁ、餌をあげている人か誰かが、不妊手術をしてくれないかな・・・」
と思い、でも自分では野良ちゃんを捕まえて病院に連れて行くなど、とてもとても、絶対できないと、ずっと思っていました。
ある時近所で、餌やりさんに懐いている野良猫ちゃんをみかけ「この子なら餌やりさんに手で捕まえてもらって、キャリーケースに入れてTNRできるかも!」と思ったのです。
今思えば無謀だったなと思います(笑)
思い切ってその餌やりさんに話かけ、TNRについて相談しながら、やっぱり捕獲器はあったほうが猫ちゃんにとって良いだろうと思いました。
TNRの際、猫ちゃんは約2日間捕まったままトイレに行くこともできません。
捕獲器であれば、底が金網になっているので、捕獲器の下にペットシーツを敷いて汚れたら交換することができますが、キャリーケースではそういうわけにいきません。
私は早速捕獲器を購入し、ネットで仕入れたTNRの方法を見様見真似でやってみることにしました。
初めての捕獲の日、ターゲットの猫ちゃんは捕獲器の入り口まで来ましたが、なかなか中に入ろうとはしません。
懐いている餌やりさんが「お尻を押したら中に入ってくれるかな?」とお尻をそっと押した瞬間、猫ちゃんは飛び上がって逃げてしまい、、、大失敗でした。
飼い猫であっても、キャリーに入れられるのを嫌がって暴れる猫ちゃんはいますよね。
相手が野良ちゃんなら難易度は爆上がりです。
このような失敗から始まった私のTNR活動ですが、失敗や経験から学びながら、そして様々な方々の助けを借りながら、少しずつ前に進んでいます。
私は以前、野良猫ちゃんをTNRするには、餌やりを長く続けてすごく懐いたら手で捕まえて行う、またはものすごく経験を積んだボランティアさんや動物レスキューのプロでなければできないのだと思っていました。
しかし、猫飼育歴たったの4年半(2021年当時)、特別なスキルも何もなく、野良猫ちゃんに餌をあげたこともなかったただの主婦が、失敗したり助けていただいたりしながらもTNRをやり遂げ、その後2年間で約30匹の猫ちゃんをTNRすることができました。
私にもできたのだから、やる気と、正しい知識と、少しの助けがあれば、誰にでもできるはず。
TNRは簡単だ、とは言えません。
麻酔や手術のリスクもあります。
命に対する責任の重さにずーんと考え込んでしまうこともあります。
手術の時はいつも、無事麻酔から覚めて回復してくれるか心配でたまりません。
リターンの時は毎回胸が痛み、走り去る猫ちゃんの後ろ姿を見送りながら「どうか元気で」と祈ることしかできないのが悔しく悲しいです。
TNRは野良猫問題に対する完璧な解決策でもありません。
でも、完璧にできないからといって、何もしないでいたら、問題はどんどん大きくなるばかりです。
野良猫問題について今自分ができる最善の行動はなんだろう、と考えた時に、とにかくまずはTNRだ、と思ったのです。
私には、野良猫ちゃんを保護することはできません。
野良猫ちゃんに定期的に餌やりすることもできないし、毎月何頭もTNRできるような体力も経済力もありません。
日々節約を心がけて捻出した主婦のお小遣いでできる程度のTNRを、地味にコツコツやっていくことしかできません。
それでも、野良猫ちゃん1匹をTNRすれば、その子から生まれるはずだった何匹・何十匹という命が救われることになります。
こんなことを言ってしまうと身も蓋もありませんが、正直、TNRなんてしたくないです。
いつか、TNRなんてしなくて済む世界になってほしいと願っています。
全ての猫ちゃんが、大好きな飼い主さんに愛され護られて、安心して暮らせる世界に。