TNRの疑問

TNRのメリットは?
✔︎繁殖しない
野良猫の平均寿命は5年ほどなので、TNRしてきちんと管理すれば徐々に頭数が減っていきます。
✔︎不幸な猫が減る
野良猫は1回の出産で平均4〜5匹産みますが、飢餓、病気、交通事故などで仔猫の7割は生後半年までに死んでしまいます。仔猫はある程度大きくなるまで人から見えない場所に隠れているため、気づかないところでたくさんの不幸な仔猫が死を迎えているのです。またロードキルは殺処分数の10倍とも推計され、人知れず命を落としている不幸な野良猫は数えきれません。
✔︎発情しなくなるので、発情期特有の鳴き声がなくなる
✔︎手術後は性格が穏やかになることが多いため、猫同士の喧嘩騒ぎが減る
✔︎交尾しなくなり、喧嘩が減ることにより、交尾や喧嘩が原因の感染症や怪我が減る
特に未去勢のオス猫は激しい喧嘩で傷だらけになり、死に至る場合もあります。
✔︎尿のマーキング行為が減り、尿の匂い自体も減る
✔︎子宮蓄膿症、乳腺腫瘍、精巣ガンといった生殖器系の病気になるリスクが減る
✔︎殺処分が減る
行政も殺処分ゼロを目標に掲げていますが、野良猫が増え続けていては実現できません。殺処分を減らすには不妊手術の推進が不可欠です。
TNRのデメリットは?
✔︎飼い猫と比べ手術のリスクが高い
野良猫の場合、飼い猫とは異なり、術前検査ができない、栄養状態や健康状態が不明、術後のケアがきちんとできない、などの事情があるため、麻酔や手術のリスクが飼い猫の場合より高くなっています。
✔︎リターン後に姿を消してしまうことがある
ただしTNRしてもしなくても、外で暮らしている以上は起こりうることです。
✔︎野良猫がすぐに減るわけではないため、糞尿などの住環境問題の解決には時間がかかる
TNRは誰にでもできる?
TNRは、「誰でもできる」という面もありますが、逆に「誰にでもできるわけではない」という面もあります。
まず、TNRをするのに猫好きである必要は全くありません。
TNRも地域猫活動も、野良猫を減らし、野良猫による環境被害を減らすための活動です。猫好きの猫好きによる猫好きのための活動ではないのです。
TNRは、捕獲からリターンまで猫の体には一切触れずに行います。
野良猫に接した経験がなくても
野良猫が嫌いでも
野良猫が怖くても
TNRはできます。
TNRにおいては
やるべき事をきちんと行い
やってはいけない事は絶対にしない
それが大切。
必要な知識と道具、そしてやる気があれば、猫好きだろうと、猫嫌いだろうと、できるのがTNRです。
耳カットをする理由は?
耳カットがないと、野良猫の外見から不妊手術済みかどうかを見分けるのは困難です。
特にメス猫では、麻酔をかけてお腹の毛を剃っても分からないことがあります。
不妊手術済みの猫が何度も捕獲され、何度も麻酔をかけられ、場合によって は何度も開腹手術をされるような危険を防ぐために、離れたところからでも、誰にでもはっきり見分けがつく耳カットが必要なのです。
不妊手術はかわいそう?
野良猫は、家もなく、酷暑、極寒、豪雨などにさらされ、飢え、病気、怪我、虐待、交通事故などの危険の中、常に死と隣り合わせで暮らし、短い生涯を終えます。生まれた仔猫の7割は半年も生きられません。死ぬために生まれてくるようなものです。運良く生き残れても、過酷な環境の中、邪魔者扱いされて、肩身狭く生きているのです。その方がよほどかわいそうではないでしょうか。
おそらく、野良猫に餌をあげている方は「かわいそう」と思って餌やりを始めたのだと思います。それなら、かわいそうな命の連鎖は、今の代でぜひ止めてあげてください。
また「TNRのメリットは?」の部分で触れたように、不妊手術は発情によるストレスを取り除き、生殖器系の病気のリスクを減らすなど、猫の生活の質を高める効果もあります。
不妊手術は自然に反する?
野良猫は野生動物ではありません。
野良猫も、飼い猫と同じ「イエネコ」という種ですが、むやみな繁殖、飼育放棄、遺棄といった人間の無責任のとばっちり受けて、飼い主のいない暮らしを余儀なくされているだけです。
イエネコは愛護動物、伴侶動物であり、本来は人が世話し幸せにしてあげなければならない生きものです。
人が責任を持って世話することができないほど無制限に繁殖させるのは、自然とは言えません。
仔猫は生後どのくらいでTNRできる?
仔猫も早ければ生後4ヶ月で妊娠し、生後半年で出産してしまいます。
そのため、生後5ヶ月齢までに不妊手術を済ませることが推奨されています。
TNRに積極的な動物病院では「早期不妊手術」といって、仔猫でも体重1キロくらい(生後2ヶ月くらい)から不妊手術できる病院が多くあります。
生後3ヶ月齢を過ぎれば、術後の体力低下の心配も少なくなります。
早期不妊手術のメリットは
✔︎初回発情前に避妊手術(メス)することで乳腺腫瘍発生のリスクを激減させることができる
✔︎まだ余計な脂肪がついておらず、血管も発達しきっていないため、短時間で小さな傷口で手術でき、出血量も少なくてすむ
✔︎若いので、精神的にも肉体的にも術後の回復が早い
です。
逆に注意が必要な点としては、低体温や低血糖にならないよう気をつけてあげる必要があります。
術前術後の絶食時間や室温管理をどのように行うか、獣医師や経験のあるボランティアなどによく相談の上、適切に管理します。
妊娠している猫をTNRできる?
妊娠している猫の場合、出産させる選択肢と、堕胎不妊手術をする選択肢があり、猫の状態や関わる人などの要因によってどちらの選択肢になるかが変わるでしょう。
堕胎不妊手術は母猫の体への負担が大きいですが、かといって出産育児させることも母猫への負担は大きく、また生まれた仔猫が無事に育つ保証もありません。
できれば妊娠前に、TNRしてあげられたらと思います。
きたこがねこTNRでは今までのところ、妊娠猫の場合は堕胎不妊手術によるTNRを選択しています。
堕胎不妊手術の場合は、通常の不妊手術費用に加えて堕胎の費用が加わったり、抗生剤の注射や点滴が追加になるなどして、少し費用が高くなることが多いです。また、術後は通常よりも長めに室内療養させるよう、獣医さんから指示を受けることもあります。
TNRにかかる費用は?
費用の内訳はおおまかに
✔︎捕獲器など道具の購入/レンタル代
✔︎捕獲に使う餌代
✔︎ペットシーツ、消毒剤、使い捨て手袋などの消耗品代
✔︎搬送のための交通費
✔︎不妊手術費用
✔︎その他の医療費
です。
手術費は病院によってかなり幅があります。
通常飼い猫の不妊手術ではオス2万円前後、メス3万円前後かかりますが、TNRに積極的な病院では、TNR用にオス10,000円前後、メス15,000円前後の料金を設定してくれている場合もあります。
TNR専門病院では7,000円前後で手術してくださるところもあります。
自治体や愛護団体による低価格な一斉TNR(決まった日時に決まった場所で一度にたくさんの野良猫を集めて一斉に不妊手術を行う)が実施されていることもあります。
自治体によっては手術費助成金制度もあり、松戸市では活動団体等に属していなくても個人で補助金を申請できます。
その他の医療費としては、ノミダニ駆除薬、ワクチン接種、健康状態によって抗生剤の注射、点滴、傷の縫合など追加の医療処置が必要になることもあります。
TNRをしたいがどこに相談すれば?
私も初めてTNRするときはどこへ相談したらよいかわからず、色々と調べました。
ネットでたくさん検索して、さまざまな個人活動家さんや団体さんのブログを読み、SNSやYouTubeなどをじっくり見て、やり方を調べたり、相談を受け付けている活動家さんに質問のメッセージを送ったり、動物病院に電話で問い合わせしたり、市役所に電話したり・・・。
今でも、どこに相談するのが一番近道なのかは正直わかりません。
情報が偏らないよう、様々な角度から情報を収集することをお勧めします。
手始めに「野良猫 TNR お住まいの地域名」「地域猫 お住まいの地域名」などのキーワードでネット検索してみましょう。
お住まいの「市」の地域猫担当部署にまずは相談してみると良いと思いますが、残念ながら行政の対応がお粗末な場合も多々あるようです・・・ここでメゲないでください。
なお、お住まいの「市」だけだと検索範囲が狭すぎて、必要な情報が得られないことも多いです。例えば松戸市在住なら「松戸市」だけでなく近隣の柏・流山・野田、さらには「千葉」「埼玉」「東京」まで範囲を広げて検索するべきだと思います。
お住まいの地域の動物愛護団体さんが相談を受け付けている場合もあるでしょう。猫用の捕獲器を貸してくださったり、捕獲や搬送を手伝ってくださるかもしれません。有料の賛助会員さんからのみ相談を受け付けている、という団体さんもありますが、この活動は多大な労力と費用がかかる上、お給料は出ない、経費も自腹、という大変な活動です。きちんとした団体さんに相談させてもらえるのなら、数千円の会費は安いものだと思います。団体さんのブログや活動報告をよく読んだり、譲渡会やシェルターを見学させていただいたりして、どのような団体さんなのかを把握した上で相談なさると良いかもしれません。